描いた理想図。
昔、私は、ボロい平屋に住んでいた。
玄関も閉まりにくい、
自分の部屋なんてもってのほか。
冷蔵庫に行くには、あれやこれやを身体を細めて行かなきゃいけない、狭いぼろぼろな平屋。
いまとなれば、幸せだった。
ぼろぼろだろうが、帰る家がある。
母がいる。父がいる。姉がいる。
犬もいた。
ただ思春期の私には、嫌で嫌で仕方なかった。
いわゆる家出、夜遊び、しまくった時期もあった。
そんな私は、近所の二階建ての綺麗な家を眺めては、いいな、友達を招き入れ、ジュースだして、お菓子並べて、おはなししたいなー。
母も心地よく友達を招いてくれて、
色々お菓子を出してくれる。
そんな妄想をしていた。
随分長いあいだ、そんな妄想族になっていた。
そんな私は、17で家を出て自立した。
そして、結婚して、
子供がいる。
昔描いていた理想図を、
私は叶えている。
友達を呼び、
お菓子をだして、
いつでもおいで、と笑顔で言えている。
友達が来てる間の自分の子供の顔を見て、
楽しそうだな。
と本当に思う。
私が昔したかったことを、
子供がやり、
私がやる。
私の心の活力のひとつ。
ぼろぼろな家を恥ずかしいと思って、
馬鹿な私。
そんなの恥じることではない。
恥ずかしいと思っていた自分が、
恥ずかしい。
でも、あの楽しそうな子供の笑顔が、
私は大好きだ。
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