言えなかったこと。
大きな交通事故に遭い、
重体になった。
もちろん私はそんな記憶もお見舞いに行った記憶もない。
父は、長距離の運転手で、
自分が住んでる県とは離れた県で、正面衝突された。
トラック同士の追突事故だった。
だから長期の入院も、離れた県でしていた。
母もめったにお見舞いには行けなかったと思う、
赤ちゃんの私と、一つ上の姉がいる。
母も嫁ぎ先が自分の地元ではないので、預けていけることは、なかなかできなかったと思う。
でも奇跡的に回復して、いまも健在である。
生死をさまよう、、大きな大きな事故だったらしい。
そんな私が、小学低学年のころ、
名前の由来について、書くプリントがあり、
私の一文字は、もう生きてることが難しかった父の名前の一文字が入っている。
だから、そのプリントを自宅で書くとき本当に嫌だった。
死ぬかもしれなかったから、
なんて、書けなかったのを覚えている。
そんな手が動かない私を見て、
母が、
言った。
もしものことがあったらってことで、この漢字をいれたんだよ、みたいに。
私が、わかったって言いながら、書こうとしたら、
「もしものことってなによ。」
「もしものことってなによ!!」と、
強く言った。
死んだらってこと。
とは言えず、
ずっと下を向いていた私。
さらにまた
「もしものことってなによ!」って言った。
それでも言えなかった。
結局、
なにも書かずに提出した。
あれは、
なんだったんだろう、
言ったら
縁起でもない事言うなって怒ったのか、
もしくは本当に、
私がわからないと思って、
そんなこともわからないの?的な感じなのか、
未だにわからない。
ずっとわからない。
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